先人から受け継がれる「鹿沼今宮神社祭の屋台行事」
江戸時代から残る華やかな彫刻屋台が、今宮神社を起点に町を彩る
「鹿沼秋まつり」は今宮神社の例祭として開催されています。例祭は1608(慶長13)年に始まったとされ、雨乞いが起源であったそう。
この祭りに登場するのが鹿沼の文化を代表する「彫刻屋台」と呼ばれる豪壮で緻密な屋台。江戸時代から残る華麗な彫刻が施された屋台は全てが木で作られており、今宮神社に勢揃いする様は壮観です。
平成28年の鹿沼秋まつりでは、絢爛豪華な彫刻屋台24台が勇壮に市内目抜き通りを練り歩き、鹿沼の街を華やかに彩りました。
鹿沼秋まつりの見どころ
今宮神社への「繰り込み」
屋台提灯への灯入れ
繰り出し
迫力満点のお囃子の共演「ぶっつけ」
お囃子を激しく演奏し合いながらも調子を狂わせず演奏することを競うもので、このとき周囲では提灯や歓声などで囃し立てて大いに盛り上がります。
御巡幸
祭りのお囃子と歓声は、夜までにぎやかに響き渡ります。
12月23日、ユネスコ無形文化遺産登録の記念祝典が開催されました
記念祝典詳細
古くから木の文化が息づく鹿沼の彫刻屋台
鹿沼屋台が記録に初めて見られるのは安永9年(1780年)。この頃の屋台は、簡単な屋根付きの移動できる舞台で、「踊り屋台」と呼ばれていたそう。現存する彫刻屋台が作られるようになったのは、1836年と言われています。
徳川時代、日光東照宮造営に集められた名工たちが文化の祖
日本の木の文化を育み、「木工のまち」として全国にその名を馳せている栃木県鹿沼市。
鹿沼がそう呼ばれるようになったのは、日光東照宮の造営の折に、優れた宮大工や彫刻師、建具職人、装飾職人が全国各地から集められ、この鹿沼に移り住んだためといわれています。以来、匠の技はこの地に脈々と受け継がれてきました。
彫刻屋台とともに鹿沼の木の文化を代表するのが「鹿沼組子」。組子細工は、釘や金具などを一切使わずに、何千もの細い木片に切り込みを入れながら組み合わせ、多彩な模様を作り上げるものです。
その柄は300種類以上に及び、非常に細かく精密に組まれた組子は繊細で美しく、思わず見とれてしまいます。
現在では、杉やヒノキから放出される成分や香りが健康にも良いとされることも相まって、その技術を利用した新しいものつくりも行われています。組子でできたサッカーボール、動物人形、腰掛、木の健康枕・・・。コースターやトレイなどのモダンなデザインの製品にも姿を変えて受け継がれています。
和の空間に心が安らぐ、というのは、本来、木の持つパワーに加えて、何千年もの昔から先人たちが蓄え続けてくれた知恵や技が醸し出す力がそこに宿っているからかもしれません。