貴族の墓(Tombs of the Nobles)はエジプトの観光都市ルクソール市の「ネクロポリス(死者の町)」に位置します。ナイル川の西岸「死者の町(ネクロポリス)」は全てを鑑賞するには1年以上かかるといわれるほど広大なエリアで、近くにはエジプト史上初の女性ファラオ・ハトシェプスト女王の葬祭殿やラムセス2世の葬祭殿もあります。貴族の墓は未だ分かっているだけでも800基、未確認のものは数千にも及ぶとされ、現在は常時10基程度が公開されています。ファラオの墓に比べ小規模ながら美しい壁画が見どころの貴族の墓をご紹介します。
「貴族の墓(Tombs of the Nobles)」とは、古代エジプト軍の宰相や書記官など当時の高官の墓所が点在するエリアで、ルクソール西岸の王家の谷の入り口付近に位置します。周辺にはルクソール西岸の代表的な観光スポット「ラムセウム(ラムセス2世の葬祭殿)」「デル・エル・バハリ(ハトシェプスト女王葬祭殿)」などがあります。
貴族の墓の魅力はその美しい壁画にあります。ファラオの墓のように華々しい神々は描かれていませんが、当時の生活様式を垣間見ることのできる壁画が数多く残っています。代表的なものに第18王朝8代トトメス4世と第9代アモンホテプ3世の時代にアメン神の書記として仕えたナクト墳墓(Tomb of Nakht)の壁画「宴会の図」「3人の女楽師」があります。
La tumba del funcionario Najt, que sirvió a Tutmosis IV (1400-1390 a. C) como sacerdote astrónomo en el templo de Karnak. Descubierta en 1889, conserva en ...
見どころ②ラモーゼ墳墓とメンナ墳墓
ラモーゼの葬儀図
ラモーゼ墳墓(Tomb of Ramose)は第18王朝アクエンアテン(アメンホテプ4世)の宰相だった人物のための墓地で、「ラモーゼ夫妻と供え物」の壁画が有名です。アメンホテプ4世は宗教改革のため都を捨ててアマルナに遷都したファラオで、ラモーゼも共に転居したため墓は未完のまま放置されました。髪の毛の一本一本や涙などが緻密に描き込まれています。
土地検査官メンナの墓
トトメス4世の時代の土地監査官・メンナの墳墓(Tomb of Menna)に描かれた壁画は、「収穫や徴税の様子」と称されます。水辺の景色や、おとりを使って水鳥を狩る狩猟法などが描かれています。同じ貴族の墓にあるものでは他に働く職人が描かれたレクミラの墳墓や、ブドウの天井画が美しいセンネフェルの墳墓なども人気があります。