ノスタルジックな景観を今に残す水郷「周庄」
中国・江蘇省の南部、上海との境に位置し、蘇州から南東約25kmの距離にある「周庄」は約900年の歴史を誇る水郷村。上海と蘇州の間にいくつも点在する水郷の中でも最も美しく魅力的な水郷のひとつとされています。
周庄は、宋の時代にはじまり、元の時代の大富豪、沈万三(シンバンサン)が村の北側にある白蜆江(バイシェンジャン)から水を引いた頃より、水運と商業で繁栄を誇るようになりました。見どころは、明清時代の姿をとどめる街並みそのもの。家々の間を結ぶ水路と小橋が織りなす風景は、どこを切り取っても絵になり、ノスタルジーを誘います。今回は、そんな周庄の楽しみ方をご紹介します。
①元、明、清代に造られた「美古橋」をめぐる
まずは、周庄の入口にある「古牌楼(グウパイロウ)」をくぐって古鎮(古い町、の意)内へ。石畳の路地に建ち並ぶ約800戸の住居のうち6割以上が明・清代の建築様式の建物です。
古鎮をめぐる水路には多くの橋が架かり、そのうち14の橋が元、明、清代に造られたもの。そんな美しく古い橋「美古橋」をめぐるのが、周庄の定番的な楽しみの一つ。街並みを眺めながら歩くのも良いものですが、手漕ぎの遊覧船で5つの橋を見てまわる約20分の船旅もおすすめ。運がよければ船頭さんが歌ってくれることも。
アーチ型と梁状の2つの橋が直角につながった「双橋(スアンチアウ)」。観光客に一番人気の美古橋です。
②石畳の路地を歩き、自分だけの「周庄みやげ」を探す
「貞豊酥(ジンフォンスウ)」をはじめスイーツの老舗も多い周庄。おみやげもの探しをするだけではなく、気になる菓子を買って、街歩きをしながら食べるのも旅ならではという感じで嬉しい。最近では、こんなフォトジェニックなスイーツも多いんですよ!
③古民家を活かした素敵な「茶館」でティータイム
昔ながらの建物を活かした中国式の「茶館」で、中国茶とスイーツをゆったりいただくのも
、おすすめの過ごし方。風情ある景色を眺めながら、何もせずボケーッとしたり、旅のお相手と気の置けない会話をするのは、最高の贅沢ですよね。写真は地元民にも人気の茶館の一つ「三毛茶楼(サンモウチャロウ)」。
お湯を注ぐと、ゆったりと元の姿を取り戻していく「花茶(ホァチャ)」は中国ならではのもの。胡麻油の香りとサクサクした食感が楽しい「麻餅(マァビュン)」や、米粉やクルミで作った「桂花雲片糕(グイホァウンピエンゴウ)」などと一緒にどうぞ。
「太平橋(タイピンチアウ)」のたもとにある「illyカフェ」も人気。こちらは店内の窓から、町を流れる運河を臨めるんです。illyの本格的なコーヒーやカプチーノなどいただきながら、周庄のとっておきの風景をひとり占め。夜のライトアップされた光景もステキなんですよ。
④本場の中国料理!周庄名物「万三家宴」をいただく
本場ならではの料理をいただくのも旅の楽しみ。夕食には周庄の名物料理「万三家宴(ワンサンジアイェン)」をたっぷりと。豪商で知られる沈万三が名料理人に水郷の新鮮な食材を厳選して作らせたのがはじまりという万三家宴は「沈庁酒家(シェンティンジュジア)」などのレストランで食べられます。
写真は、万三家宴を代表する料理で、「万三蹄(ワンサンティ)」という豚の蹄(ひずめ)の煮込み。鶏や豚肉、エビなどを麩の皮で包みスープで煮込んだ「三味圓(サンウェイユエン)」なども、ぜひ味わってみましょう。
⑤伝統建築を改築したクラシカルなホテルに宿泊する
せっかくの水郷古鎮への旅。宿泊先も、一般的な“四角いホテル”ではなく、古民家を改築した現地ならではのホテルを選ぶのがおすすめ。昔ながらの石や木材を多用した建物は、博物館に泊まってるような気分にもさせてくれるもの。温かな風情もあり、落ち着けます。
その際、写真におさめたいのが写真の2つの提灯の向こう側の壁にある「窓」。なんと、家屋敷から出ることを許されない“箱入り”の沈家のお嬢さんは、見合い相手のことも、この窓から覗き見ていたんだとか。
⑥水路が灯りで彩られる「夜景」の美しさを堪能する
また、夜になると、古鎮入口の古牌楼(グウロウパイ)近く「江南人家(ジャンナンレンジャ)」の門をくぐった奥で、エンターテインメントショー「四季周庄(スージージョウジュアン)」が上演されているので、こちらも注目です。四季周庄は沈万三の生涯と周庄の四季を綴る内容で、1〜11月の期間は毎日19時半から上映されています。周庄の美しい四季を紹介する場面では、地元の人たちも出演するんですよ!