三権広場(Praça dos Trés Poderes)は南米ブラジル連邦区の首都ブラジリアに位置するスポットです。立法・司法・行政の三権を担う国会議事堂、最高裁判所、大統領府、そして「祖国と自由に尽くした人々の霊廟」(Panteão da Pátria e da Liberdade Tancredo Neves)の4つの建築物に囲まれ、飛行機の形をしたブラジリアの機首部分にあたります。20世紀近代建築の巨匠とも称されるブラジル生まれの建築家、オスカー・ニーマイヤーゆかりのスポット、三権広場をご紹介します。
三権広場(Praça dos Trés Poderes)が所在するのは、南米ブラジルのほぼ真ん中に位置する首都ブラジリア(Brasília)です。ブラジリアはジュセリーノ・クビチェック大統領が任期内に当時のリオデジャネイロから遷都する予定で計画され、ブラジル人建築家ルシオ・コスタ(Lucio Costa)の設計により、リオデジャネイロから932.58 km離れた標高約1,100mの高原地帯に建設された計画都市です。
広場を取り囲むようにゆったりと配置された建物は、リオデジャネイロ生まれの建築家で20世紀近代建築の巨匠と謳われたオスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer)によってデザインされた、リゾートマンションと見間違うような官公庁施設です。その中心にそびえるのは「議会の宮殿(Palácio do Congresso Nacional)」と呼ばれる国会議事堂で、中央の事務棟を挟んでコンタクトレンズのようなモニュメントが目印の上院、伏せた形は下院になっています。
三権広場を囲む行政機関の施設は、それぞれが天才ニーマイヤーのアート作品です。「弓の宮殿(Palácio Itamaraty)」と呼ばれる外務省、「正義の宮殿(Palácio da Justiça)」の異名をもつ法務省など、建物にはそれぞれ素敵な名前が付けられています。衛兵が守る大統領府は「台地の宮殿(Palácio do Planalto)」と呼ばれます。世界の一般的な官庁街のイメージとはほど遠い、三権広場を中心としたミュージアムのような空間です。
国会議事堂に向かって建つ独創的なフォルムの建物は、1986年(昭和61年)に完成した3 階建ての記念館「祖国と自由に尽くした人々の霊廟(Panteão da Pátria e da Liberdade Tancredo Neves)」で、ポルトガル植民地時代の独立運動を指導した英雄や、はじめて民主的な方法で選出された前総理大臣のタンクレド・ネヴェスなど、近代国家ブラジル設立の礎となった英雄を顕彰するミュージアムになっています。