まず、皆さんは松濤（しょうとう）という場所をご存知でしょうか？松濤は渋谷に近接した高級住宅街で、都会の喧騒を感じる渋谷とはまた異なる雰囲気の、穏やかで落ち着いた街並みが特徴的です。閑静な住宅街でありながら交通のアクセスも非常に良い人気スポットとなっています。

松濤の歴史は古く、今でも街の中には水車のある湧水池が魅力的な鍋島松濤公園など、昔ながらの風情を感じることのできる場所も残されています。そんなセレブの街だからこそ食の文化も充実しており、高級かつ著名なレストランも数多く集まっているのです。

そんな素敵な松濤という街で今回紹介するのは高級フレンチ「シェ松尾 松濤レストラン」です。このレストランも古くからこの街に根付いたものとなっており、その歴史は40年弱にもなります。門構えからして如何にも格式高い雰囲気を醸し出しています。

渋谷にほど近い場所にあるレストランだというのに、その都会らしさを感じさせない緑豊かなテラスは晴れた昼下がりには非常に人気となっています。季節によってはさわやかな風を受けながらゆったりとした時間を過ごすことができ、それだけで非日常を感じられます。

店内に入ってもその雰囲気は健在で、都内の他の高級フレンチのように豪華絢爛な装飾を施してあったり、厳かな空気を感じさせるのではなく、あくまで居心地の良い空間にするためにインテリアをしつらえており、まるで軽井沢の別荘のような過ごしやすさが特徴的です。

こちらのレストランで提供される料理はすべてコースのメニューとなっています。その料理の構成や一皿一皿に込められた想いは、このレストランがオープンしてから数十年にわたり変わらないもてなしの心遣いをにじませた非常に心安らぐものとなっています。

提供される料理に用いられる厳選された素材は、本場フランスのもののみならず日本全国から集めたもので、長い年月をかけてシェフが自ら目利きした豊かな食材だからこそ為せる味の深みというものを感じられます。

アミューズからデザートに至るまで、料理の内容に関して意外性はそれほど意識していないように感じられます。しかし上質な食材を上質な料理へと昇華させることにおいては並々ならぬ尽力が見て取れ、馴染みの深くない方もどこか安心感を覚えられるものとなっています。見た目にも美しい料理は、一皿一皿が芸術品そのもの。

シェ松尾の“シェ”というのは、フランス語で家を意味します。このレストランはその店名の通りオーナーシェフの松尾氏が自らの家に客人を招いてもてなす、という精神に基づいており、また訪れたくなるような、普段使いをしたくなるような温かみに溢れたお店となっています。