ゲーテ博物館(イエーガーホーフ城)は、ドイツの日本人街とも言われる経済都市・デュッセルドルフにあるゲーテ博物館(イエーガーホーフ城)は、ヤコービ通りとマルカシュテン通りに面した古城のミュージアムで、18世紀から19世紀に活躍したドイツの詩人ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)にゆかりコレクションを集めています。
深い緑に囲まれた閑静なイエーガーホーフ城(Schloss Jaegerhof)は、バイエルン選帝侯カール4世フィリップ・テオドール(Karl IV. Philipp Theodor)の計画により1749年に着工し、14年後の1763年に完成しました。選帝侯に仕えた狩猟長の屋敷として建てられたという18世紀バロック建築で、ピンクの外壁やアーチ型の窓、アイアン・レースのバルコニーが印象的です。
1774年にゲーテが初めてこの屋敷を訪れたのは、敷地内に友人でドイツの思想家だったフリードリヒ・ハインリヒ・ヤコビ(Friedrich Heinrich Jacobi)の別荘があったためです。フランス革命が勃発した1789年7月、ゲーテはイタリアに旅行中でした。平和の徒を自認し、革命による暴力や混乱を嫌ったことから反革命的と批判されていたゲーテは、フランス革命軍から逃れるため1792年11月にもこの地を訪れ滞在しています。
1852年に南ドイツ・シュヴァーベン地方の貴族ホーエンツォレルン・ジグマリンゲン侯(Leopold von Hohenzollern-Sigmaringen)の居城となったゲーテ博物館(イエーガーホーフ城)は、1910年(明治43年)にはデュッセルドルフ市の所有となり、市長官邸として使用された時代もありました。
ゲーテ博物館(イエーガーホーフ城)の展示品の中には、ゲーテと親交のあった人々の肖像画やゆかりの品、直筆の書簡などの興味深いコレクションが並びます。1774年に執筆された書簡体小説「若きウェルテルの悩み(Die Leiden des jungen Werthers)」や、ゲーテの代表作のひとつである長編戯曲「ファウスト(Faust)」の貴重な直筆原稿は必見です。