サン・ジョヴァンニ 洗礼堂 (フィレンツェ)は、キリスト教・カトリックの教会「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂（Cattedrale di Santa Maria del Fiore）」に属する建物で、旧聖堂のサンタ・レパラータ教会の洗礼堂として創建されました。正八角形をしたロマネスク様式の建築物で、大聖堂の正面玄関に向き合うように建っています。

サン・ジョヴァンニ 洗礼堂 (フィレンツェ)は、古くから「花の都」と謳われ世界の注目をあつめ続ける美しい町、フィレンツェを代表するランドマークのひとつです。イタリア語で“神の家”を意味する大聖堂「ドゥオモ（Duomo）」と、その脇でひときわ高くそびえるゴシック建築の「ジョットの鐘楼（Campanile di Giotto）」とともに、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂を構成しています。

サン・ジョヴァンニ 洗礼堂 (フィレンツェ)は、キリストにヨルダン川でバプテスマを授けた洗礼者ヨハネ（サン・ジョヴァンニ）の名を冠した洗礼堂です。新約聖書の記述によれば、洗礼者ヨハネはイエス・キリストの従兄弟にあたります。神の国の到来と悔い改めを述べ伝えるカリスマ預言者でしたが、自分のもとへ洗礼を受けに来たキリストを一目見て、自分の時代が終わったことを悟ります。

サン・ジョヴァンニ 洗礼堂は、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂を構成する3棟の建物のうちで最も古く、11世紀に着工されました。内陣が完成したのは1202年のことで、旧聖堂よりも立派だったことからしばらく礼拝堂として使用されていましたが、大聖堂の建立とともに改修されて洗礼堂になりました。八角錐の屋根には、1150年に建てられたランタンの上に小さな十字架が掲げられています。

サン・ジョヴァンニ 洗礼堂の見どころのひとつは、美しいレリーフが施された3つのブロンズ製の扉です。特に有名なのは1452年に完成した大聖堂側の東門（レプリカ）で、初期ルネサンスの金細工師ロレンツォ・ギベルティが北門に続いて手掛けました。のちに天才彫刻家のミケランジェロが「天国への門」と評したことから、今もその名で親しまれています。オリジナルはドゥオーモ付属博物館に所蔵されているそうです。

最初に完成したのは「洗礼者ヨハネの生涯」を描いた現在の南の扉で、当初は東側の入口に取り付けられました。次に完成した北の扉「キリストの生涯」で、史上初めて作者が公募で選ばれた例として有名です。ヨハネの扉に替わって東側に取り付けられましたが、「天国の門（イエスの洗礼）」が完成すると北側に移設されました。

サン・ジョヴァンニ 洗礼堂の内部は回廊と祭室で形成されたシンプルな構造ですが、内装全体を覆うように施された美しいモザイクが大きな特徴です。黄金色に輝く天井画は13世紀のもので、繊細な金細工が一見ビサンチン（東ローマ）風ですが、フィレンツェの職人が意地をかけて技工を施したものだそうです。旧約聖書に描かれている創世記をはじめ、洗礼者ヨハネ殉教の経緯や最後の晩餐のシーンがモチーフになっています。

洗礼堂に入る正面に見えるのは、自ら予言したとおり十字架の死から3日のうちに蘇った「復活のキリスト」です。また、後陣を飾る祭壇やモダンな壁の幾何学模様や、教皇ヨハネ23世の墓碑も見逃せません。洗礼盤は15世紀に製作されたものです。足元にも色とりどりの石で大理石のモザイクが敷き詰められています。

サン・ジョヴァンニ 洗礼堂 (フィレンツェ)をご紹介しました。細密なモザイク画や壮大な天井画を鑑賞するときは、オペラグラスや手鏡を持参するとラクに楽しめるようです。フィレンツェ観光の際は参考になさってください。

所在地：Piazza del Duomo, 50123 Firenze
TEL：+39 055 230 2885
営業時間：8:15～10:15、11:15～20:00
料金：大人:5ユーロ、 子供:5ユーロ
定休日：第1火曜
アクセス：Santa Maria Novella駅より徒歩15分